『ベンヤミン・コレクション〈1〉近代の意味』

私説:日本で作品は売れなくても写真集は良く売れるのは、絵柄を買っているからでは

作品よりも作品集を買う傾向はアート全般に広まってきている

これまで述べてきた日本における写真集の状況と似たような現象は、他のメディウムでも生じてきているようです。
先の大型書店では、写真集だけでなく現役の人気作家を中心に絵画の作品集などのコーナーも拡大傾向にあるためです。

スマホ・ネイティブ世代の知覚の特質が作品集志向を後押ししている

こうした写真のみならずアート全般における作品集志向の広まりには、以前の記事「映画『君の名は。』の評価から推測される現代人の視覚の変化」で指摘にしたことが関係しているように思えます。
記事の指摘を要約しますと、それは特にスマホ・ネイティブ世代の若い方々を中心に進行している、リアル(現実)とバーチャル(CG)とを区別しない、あるいはできない知覚の傾向です。

ですから今後も、アートワールドの人々の大多数がオリジナル作品のみに価値を置く一方で、その外の世界の人々の絵柄志向はしばらく続くのではないかと予想しています。

引用文献

『ベンヤミン・コレクション〈1〉近代の意味 (ちくま学芸文庫)』、筑摩書房、1995年

『ベンヤミン・コレクション〈1〉近代の意味』
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