森美術館「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」展示カタログ

ヴォルフガング・ライプの作品感想@地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング

森美術館「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」のヴォルフガング・ライプの感想記事。
1ページめではヘーゼルナッツの花粉を敷き詰めた作品、2ページめでは蜜蝋を用いた作品を紹介した。
続く最後のこのページでは大理石と牛乳を使った作品を紹介する。

ヴォルフガング・ライプ(Wolfgang Laib)《ミルクストーン Milkstone》
ヴォルフガング・ライプ(Wolfgang Laib)《ミルクストーン Milkstone》1995-1998
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際」ライセンスの下で許諾されています。

展示カタログでも説明されているように、こちらの作品は薄く削られた大理石の表面に牛乳を毎日注いで作られたものである。
そこで会場のスタッフに、ここでも実際にそのような作業が行われているのか尋ねると、「衛生上の問題から、すでに完成した作品が運び込まれた」旨の説明を受けた。

確かに大切な作品を保護するために温度管理などが徹底されている美術館では、腐敗の可能性がある食品を展示に用いるのは難しいのかもしれない。

ただこのすでに牛乳が固まってしまっている作品からは、柔らかな質感は感じられるものの、牛乳を注いだ瞬間の表面張力がもたらす緊張感までは伝わってこないことには物足りなさを感じた。

例えばこの作品だけ美術館の外で展示するなどして、衛生上の問題をクリアできなかったのだろうか。
ライプの作品の本質は自然界の生命力の表象と考えられているだけに、《ミルクストーン》の展示の仕方は個人的には残念でならなかった。

森美術館「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」公式ページ
(展示はすでに会期終了)

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