「次回作『哲学者の薔薇園』の構想」「次回の錬金術をテーマとした作品の撮影場所は板橋のDungeonに決定」の続報です。
先週末、板橋のDungeon(ダンジョン)にて次回作『哲学者の薔薇園』の最初の撮影を行いました。
パフォーマンスの協力者は、先日の個展『症状の肖像』のTrioバージョンにも参加いただいた舞踏家の相良ゆみ氏です。
相良氏にはパフォーマンス協力のみならず、会場のロケハンや舞台美術の面でも多大なお力添えをいただきました。
初回は作品『メルクリウスの泉』に込められた9つの象徴を撮影
次回作『哲学者の薔薇園』は、ユング著『転移の心理学』に掲載されている「哲学者の薔薇園」の10枚の挿絵をモチーフとし、かつその挿絵の模倣ではなく、その絵柄に込められた複数の象徴的な意味合いを個別に撮影するというものです。
初回では、最初の挿絵「メルクリウスの泉」に込められた9つの象徴の撮影を行いました。
今後も複数の会場を使用して、挿絵ごとに計9回の撮影を予定しています。
制作関係者の心の変容を作品に投影するため、撮影を長期間に渡り行う
ちなみに一度にまとめて撮影しないのは、挿絵ごとに空間や舞台美術を最適化するためと、ユングが想定した心の投影としての錬金術のプロセスを作品にも反映させる意図からです。
撮影に協力いただく演者の方には、事前に『転移の心理学』の該当部分を精読していただき、さらに撮影前に各々の象徴理解や撮影の段取りの擦り合わせも行なっています。
これらの事前作業と撮影の実作業を通して、各々の心に錬金術のプロセスを通して進行する個性化(一般的な類似用語では自己実現)のプロセスが生じ、その変容が作品にも反映されることを期待しての試みです。
作品『メルクリウスの泉〜カオスの海(仮称)』の候補作品
今回の記事で提示するのは、最初の挿絵「メルクリウスの泉」の1つ目の象徴「暗い海(カオス)で満たされた丸い水槽(=錬金術の容器)」を撮影したカットの候補作品3点です(クリックで拡大)。
また下の挿絵の中央下の丸い水槽が「メルクリウスの泉」で、そこに満たされている水が今回の象徴の「暗いカオスの海」です。
候補作品の選定基準
候補作品の選定基準は、私が上述の象徴から感じるイメージは暗く澱んで正気が感じられず、まだ意識が存在しない、つまり無意識の世界であったため、撮影したカットの中から動きが少なく、かつ地下世界や無意識を連想させる下方向へのベクトルが感じられるものをセレクトしました。
最終的には、これら3点の作品をA4程度の本番紙にプリントして決定しようと考えています。
追伸)近日中に撮影後の作品のセレクト作業を通して感じた反省点を記事にする予定です。