「絵画のゆくえ2019 – FACE受賞作家展」の感想、4ページ目はFACE展2017優秀賞受賞者の大石奈穂さんの作品です。
こちらは受賞作の《うその融点》です。
蚊帳のような物の中で女性が眠っていますが、個人的にはコクトーの『恐るべき子供たち』に登場するベットにも似た、幻想的な雰囲気を感じます。
ちなみにこの感覚は、以前に第一生命ギャラリーで拝見したVOCA展の受賞者の作品でも感じたことがありますので、恐らく私の好みなのだと考えられます。
なお展示目録には次のようなステートメントが記載されていました。
絵を描くとき、自然を観察するように自分の中を見渡します。
日々言葉にできない感情や輪郭を持たない曖昧な感覚が、砂が積もり立体になってゆくように、ゆっくりと確かなものへ変化してゆきます。
(中略)
私の中にある曖昧で不確かなものを、掬いとどめ、確かめたいからこそ絵を描き続けなくてはを感じます。
この文章から察するに、大石さんの絵画作品は写真の心象風景に似たものであり、なおかつ表現以前に自己探求の欲求に駆られてのものであることが推測できます。
その他の作品もご覧のように、とても個性的でした。
今回紹介した方の他にも、松田麗華さん、仙谷裕美さんの作品も良かったです。
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