大日如来坐像のインスタレーション作品
「Diversity vol.2」万城目純さんの立体曼荼羅のインスタレーション作品の感想。
2ページ目では1ページ目の立体曼荼羅の写真の奥に写っている、大日如来坐像を模したと考えられるオブジェについての感想です。
こちらがその拡大図です↓
アルミ箔で出来た等身大の坐像ですが、この像は撮影日にサンバのダンスを披露していただいたダンサーの佐久間佳子さんの身体を象ったものです。
具体的には佐久間さんに胡座をかいて座っていただき、彼女の身体を万城目さんがパーツごとに細く分けてアルミ箔で型取りして、それらを繋ぎ合わせて作られました。
造形的な模倣ではなく、エネルギーを写し取ることが目的
このプロセスについて万城目さんに伺い興味深かったのは、この作業の目的が造形的な模倣ではなく、作業中に感じられるエネルギーのような感覚を写し取ることだった点です。
1ページ目で万城目さんが、立体曼荼羅やその構成要素である仏像のリアリティを放棄して、レディ・メイド(既製品)による再現に徹し、その行為によって物質としての立体曼荼羅ではなく、その魂のような存在の移設を目指していたことを紹介しましたが、この大日如来坐像にもその信念が活かされているようでした。
因みにこの大日如来坐像は、小柄な佐久間さんを象ったものだとしても随分と小さく感じられましたが、それは中が空洞のため時間の経過と共に萎んで行くためだそうです。
また大日如来坐像には、胸元の辺りにかなり大きな穴が空いていますが、これは佐久間さんがサンバを踊っている最中に坐像の首を捥いでしまい、後から付け直したことで出来た穴です。
しかし万城目さんにとって、こうしたハプニングは大歓迎だったようで、この点も造形へのこだわりを手放している万城目さんならではの感覚のように思えました。
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