写真家 田尻健二のウェブサイト(Ver.3)。撮影した写真・展示情報・写真をはじめとしたアート情報などを掲載。今後の展示予定:2018年8月9日〜10月末(予定) NEW JAPAN PHOTO at HOTEL THE KNOT Shinjuku、11月12日〜11月18日 トキアートスペース 個展「症状の肖像」

コンテンポラリーダンス公演『カスパー・ハウザー、ヨーロッパの孤児』@インスティトゥト・セルバンテス東京〜感想

今日、市ヶ谷にあるスペインの文化施設のインスティトゥト・セルバンテス東京で、コンテンポラリーダンス公演『カスパー・ハウザー、ヨーロッパの孤児』を観て来ました。
ダンスカンパニー・ファルマコによる上演作品です。

作品コンセプト

まずステートメントには次のような文章が記載されています。

この作品は、19世紀に、17歳になるまで暗闇の地下牢に木馬とともに閉じ込められていた謎の少年に着想を得て生まれました。この作品はいつの時代にも起きる理想郷を演じることで、世界で起きている自分自身の経験すら理解することのできない、人間の無力さを描こうとしています。

あまりに悲惨な出来事なのになぜ理想郷(ユートピア)なのだろうと不思議に思いましたが、理想郷について調べてみると、Wikipediaに「現実には決して存在しない理想的な社会として描かれ、その意図は現実の社会と対峙させることによって、現実への批判をおこなうこと」とあり納得しました。

カスパー・ハウザーの救いのない人生を体現

『カスパー・ハウザー、ヨーロッパの孤児』は、女性のダンサーと男性の演奏者(ピアノとドラム)の二人で演じられていましたが、女性のパフォーマンスからはハウザーの辛い心情がひしひしと伝わって来ました。

彼女のパフォーマンスからは、自分自身をコントロールすることの難しさや強迫症状、さらにはそれでも何とか精神を安定させるための奇妙な儀式のような行為などが見て取れました。
また、おもちゃの馬を動かすシーンでも、手で持つのではなく、頭を馬の頭部の下に滑り込ませてぎこちなく引きずる様子からは、日常生活に必要な基本的な動作さえ身についていないことが連想されました。

さらに中盤以降の馬に乗るシーンは、一瞬希望を感じさせるも、強迫症状が依然として続いているため、その様子はハウザーのような境遇で育った人が解放後も人間社会に完全に適応することがなった事実を体現しているように思えました。

最後に、ステージの撮影は恐らく著作権や肖像権の問題でNGでしょうから、少々味気ないですが、帰り際にインスティトゥト・セルバンテス東京の入り口の写真を撮影しました。

インスティトゥト・セルバンテス東京の外観

補足)ただ私にはステートメントに書かれた作品のコンセプトが、あまり腑に落ちませんでした。
次のページには、その理由を記載する予定です。




写真家 田尻健二
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