NO IMAGE

作品の扱い方と価値との関係を考えさせられた広瀬真咲のパフォーマンス*本棚に棲む鳥*

今回もART TRACE GALLERY「作家と本棚」に関する記事です。

先週の土曜日にレセプションに参加致しましたが、その席で展示全体の企画者でもいらっしゃる広瀬真咲さんが、『羽』という本のリーディングと共に、もう一人の展示作家で元ギャラリーメンバーの太田翔さんの人形作品を用いたパフォーマンス*本棚に棲む鳥*を上演されました。
今回は、そのパフォーマンスの感想を書かせていただきます。

ウロボロスのシンクロニシティ

広瀬真咲パフォーマンス*本棚に棲む鳥*の上演風景1

こちらはパフォーマンスの終了間近の場面です。
パフォーマンスの最後の方で撮影を思い立ったので、残念ながらこれより前の場面を撮影することができませんでした。

パフォーマンスを拝見しながら感じたのは、まずこの少し前の場面で模造紙のような紙が床に次々と放り投げられて行き、それが円形になったのを見て、私の一番右側のウロボロスを表象した作品のことを連想したことです。
と同時に、この形となったのは恐らく最初から意図されたことではないでしょうから偶然の出来事であり、それゆえシンクロニシティ(共時性)のように思えました。

神秘的なパフォーマンスに供されることにより作品に魂が宿された

続いて(こんなことを気にするのは興ざめかもしれませんが)パフォーマンスに使われている太田さんの作品は販売品であることを思い出しました。

通常アート作品に対しては、可能な限り制作直後の(綺麗な)状態を保つことが求められ、それゆえ許可なく作品に触れることなどはタブーとされます。販売品となれば尚更です。

それでも今回のようなパフォーマンスが成立したのは、太田さんが使用を快く許可したからですが、そこには二人の間に深い信頼関係が存在したからに他なりません。

しかしそれにしても、このような用途に使用してしまって販売に支障はないのでしょうか?
この点について実際にパフォーマンスを拝見していた私の印象は、むしろその逆でした。

広瀬さんによって執り行われた儀式のような神秘的なパフォーマンスに供されることによって、太田さんの人形作品に魂と言えるような集合的な力が宿り、その結果壁面に陳列されていた時よりも活き活きしているように見えました。

パフォーマンスを終えた状態でそのまま展示されることになった人形作品

また太田さんもこのパフォーマンスがとても気に入ったようで、彼の意向で作品は元に戻されるのではなく、終了時点の形のまま会期中展示されることになりました。
こちらがその状態です↓

広瀬真咲パフォーマンス*本棚に棲む鳥*の上演風景2

補足) 実際には、右手に見える私の作品を見やすいように、脚立ごと少し左側に移動されました。

無菌室ような保管状態だけが作品に相応しいわけではない

私たちは習慣的に、作品をできるだけ外部の影響から守るよう心がけます。トレーニングの過程でそのように教わるからです。
しかし今回の経験から、何も無菌室の如く外部環境の影響を遮断するような保管状態だけが作品に相応しいわけではなく、ケースバイケースで判断すべきものであるとの考えに至りました。

追伸) 直接確かめた訳ではありませんが、パフォーマンスに同席したお客様の中にも、恐らく同じように感じた方がいらっしゃるのではないかと予想しています。

ART TRACE GALLERY「作家と本棚」展示案内

NO IMAGE
最新情報をチェック!

Exhibition landscapeの最新記事4件