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「校則破り」と題する展示企画。1ページ目では、様々な点で自由度が高いと考えられるアーティスト・ランのギャラリーであっても、近代に確立された「作品を展示する」というスタイルだけは頑なに守られている点を取り上げ、本企画はそうした無自覚な慣習を変化させることで新たなものを生み出す試みであることを述べた。

このページでは、そうした試みが周囲にもたらす影響、特に「表現の自由」の問題について考察すると共に、その状況を展示として公開することの意義について述べる。

まったく自由に作品を展示できる場所など事実上存在しない

我々作家は様々な場所で展示活動を行なっているが、一切の制限がなく、まったく自由に作品を展示できる場所など事実上存在しない。
その意味で、どの作家も常に何らかの制限を受けながら展示活動を行なっていると言える。

「表現の自由」が侵害されたと感じるほとんどのケースは、外部からの圧力に対してのもの

ここで表現の自由の問題に視点を移すと、昨年の「表現の不自由展・その後」など、この権利が侵害されたと感じるほとんどのケースは、外部からの圧力に対してのものであることが分かる。

しかし前述のように、実際の展示場所には様々な物理的制約のみならず、展示の許可に関する担当者のチェックなども存在するが、それらの制約を受け入れるために制作する作品や展示プランなどの変更を余儀なくされたとしても、それを不満には感じても表現の自由の侵害とはまず考えない

つまり我々は表現の自由に関しては、外部からの圧力に対しては敏感である一方、アート・ワールド内の制約事項については極めて鈍感である可能性がある。

カルチュラル・スタディーズの精神の導入

こうした状況を明るみにするためにも、本展示では作家活動全般に関してこれまで無自覚だった事柄を見直すだけでなく、その改定されたプランを実行に移す際の周囲との衝突の経緯についても可能な限り公開したいと考えている。

なおこの種の試みは、既にクリスト&ジャンヌ=クロードが行っている。彼らのプロジェクトの多くは、実際は交渉が上手く行かず頓挫しているが、その経緯が資料としてまとめられ公開されている。

その意味で本企画はクロード夫妻の試みの参照と言えるのかもしれないが、私の目的は批判精神を対象のみならず自身にも向ける、カルチュラル・スタディーズの精神の導入にある。

追伸) 企画「校則破り」は、まずは所属のART TRACE GALLERYでの実施を検討することになったため、次のページではそのことを前提とした実施案を提示する。

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