明日は生まれたてだから 展示風景6

Up & Coming「明日は生まれたてだから」感想

作家の日常や心情と密接にリンクした展示

Up & Comingで「明日は生まれたてだから」を見てきました。

「生活の機微をとらえ、自分の目で見たもの、心で感じたことを種としてものづくりをする」をコンセプトに、4人の参加作家が、展示までの12ヶ月間、自身の日常生活で生じた体験を元に、記録的な作品を制作・展示したものです。

詩、写真、切り絵、立体などの手法で制作された、非常多くの作品が飾られた展示空間からは、日々の生活で生じる作家の心の機微がじわじわと伝わってきました。
また展示会場に置かれた感想ノートにも、非常に多くの感想が寄せられていました。

参加作家:
安藤綾 合田有希 藤瀬碧央 まさだ すずみ

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作家の日常とリンクした展示では、作品の量の多さが重要

今回の展示を拝見して特に感じたことは、作家の日常と密接にリンクしたコンセプトの展示では、作品の量の多さが非常に重要である点です。

例えば作品のクオリティを最も重視して今回のような展示を行った場合、おそらく作品のクオリティを極限まで高めるために多大な時間を要してしまい、その結果、作品点数はかなり限られたものになることが予想されます。

自身が納得できる作品を制作・発表することが目的なら、それでも構わないのでしょうか、作品数の少なさゆえに作家の日常が断片的にしか伝わらず、その結果、通常の展示とそれほど変わらないものになってしまう可能性があります。

この点4人の参加作家は、詩やスナップショット的な写真、切り絵などを用いて、次々と自身の体験や心情をアウトプットして、ボリューム感のある展示空間を形成していました。

デザイナーのマインドもプラスに作用

また今回の展示では、参加作家が4人とも(多摩美の)グラフィックデザイン学科の出身である点も、プラスに作用していたと考えられます。

なぜならデザイナーとは、外部から与えられた目的(今回の展示で言えばコンセプト)の実現のために注力し、そのために作品に対する思い入れなどの感情を適度に脇に置くことに長けているでしょうし、またそのような態度を求められると考えられるためです。

この点がコンセプトを重視しつつも、ひとたび作品と対峙すれば、その作品との間の、いわば二人だけの世界に没頭しがちなアーティストとの大きな違いと考えられます。

補足:もっとも近代以降、アーティストに求められることの典型が自己表現になったため、これは致し方ないことと思われます。

今回の展示コンセプトが参加作家によるものなのか、それとも外部に企画者がいるのかは定かではありませんが、参加作家が4人ともデザイン学科出身の人であったことが、展示のクオリティを高めることに一役買っていると考えられます。

「明日は生まれたてだから」は2月14日(土)までです。
金曜日は20時まで開廊していますので、ぜひ足をお運びください。

Up & Coming「明日は生まれたてだから」公式ページ

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