作品『哲学者の薔薇園』制作日誌5〜1つ目の挿絵「メルクリウスの泉」の植物のメルクリウスの象徴候補作品

「メルクリウスの泉」の5つ目の象徴〜植物のメルクリウス

作品『哲学者の薔薇園』制作日誌その5。
今回は第1の挿絵「メルクリウスの泉」の植物のメルクリウスの象徴を表現する作品です。

この象徴も、象徴4「鉱物のメルクリウス」と同様、上の挿絵の噴水に添えられた銘文の1つがそれに該当します。
この挿絵を収録したユング著『転移の心理学』の説明によれば、植物のメルクリウスとは生きている状態である有機質界を表します。

但しユングが錬金術の一連のプロセスを、人間の心の有り様が投影されたものと考えていたことを考慮すると、単に生命を宿しているだけでなく心、それも意識が芽生えた状態ではないかと想定されます。
これは次の動物のメルクリウスの段階が霊的と称される、より高次の心の状態であることからも言えます。

作品「メルクリウスの泉〜植物のメルクリウス」の候補作品

植物のメルクリウスを象徴する作品は、次の作品に絞り込むことができました。

人間の情感が一番感じられるものとして、このカットを選びました。
色調もこれまでの象徴と比べて温かみのあるトーンに変えてありますが、プリントの調子を見て最終的にはもう少し抑えめの色調に変える可能性はあります。

参考文献

カール・グスタフ・ユング著『転移の心理学【新装版】』、みすず書房、2016年

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