作品『哲学者の薔薇園』制作日誌3〜1つ目の挿絵「メルクリウスの泉」の四隅の星の象徴候補作品

「メルクリウスの泉」の3つ目の象徴〜四隅の星

作品『哲学者の薔薇園』制作日誌その3。
今回は第1の挿絵「メルクリウスの泉」の四隅の星の象徴を表現する作品です。

上の挿絵の四隅の大きな星がその象徴です。
この挿絵を収録したユング著『転移の心理学』の説明によれば、四隅の星は錬金術における四元素(土、水、風、火の四つの元素)を表し、かつこの挿絵で表現される錬金術の最初の段階では、これらの元素がバラバラに分離したままのカオスのような状態にあるとされています。

作品「メルクリウスの泉〜四隅の星」の候補作品

そこで蝋燭を星に見立てて、次のような作品を撮影しました(クリックで拡大)。

作品の選定に当たっては、カオスの状態から感じられる激しいエネルギーが表出されているカットを優先しました。
またこの他にも候補となり得るなカットが複数存在しましたが、いずれも中央部分の蝋燭が隠れてしまっていました。
(人物の動きに気を取られていたのか、撮影時はそのことにまったく気づきませんでした)

今回の蝋燭は、照明目的でも雰囲気の演出目的でもなく重要な象徴であるため、それらのカットは止むを得ず除外しました。

象徴の分割表現が目的であるため、色温度の統一感は放棄

また今回の象徴では蝋燭を加えたため、象徴1象徴2の撮影時と比べて会場の色温度が目視以上に変わってしまっていましたが、色温度を無理に合わせることはせず、むしろ表現する象徴に合わせて変えることにしました。
その理由は、先月の個展で発表した「症状の肖像」のような連続写真のような体裁ではなく、1枚の挿絵に含まれる多数の象徴的意味合いを、象徴ごとに分割して表現することを意図しているためです。

参考文献

カール・グスタフ・ユング著『転移の心理学【新装版】』、みすず書房、2016年

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