多くの写真家の作品と比較できたことで、自分の作品をより客観視できた
今日、ビリケン商会の展示を見た後にスパイラルガーデンを覗くと何か展示されていたので、入ってみると「Another Tokyo」という写真のグループ展を開催していました。
ミニチュアのような写真を撮る本城直季さんをはじめ、今話題の写真家を集めたグループ展です。
また作品の他に、写真集も閲覧可能な状態で設置されていました。
これらの作品を眺めながら無自覚に自分の作品と比較していたためか、自分の作品が世の中で評価されている作品と随分違っているように思えてきました。
そして自分の作品が、先日のART TRACE GALLERY「105°」でもペインターの方から言われたように、よく絵画的な印象を与えることが思い出されました。
ただ、これまでその理由を「絵を見るのが好きだから、その影響だろう」とは分析しても、具体的にどのようなところが絵画的なのかまでは理解していませんでした。
しかし今回多くの写真家の方の作品と比較できたことで、自分なりにその理由が理解できました。
と言っても私は絵の描き方に関してはまったくの素人ですので、あくまで自分なりの理解です。
知らず知らずのうちに絵画のセオリーに則って構図を修正していた
こちらが「105°」で展示されていた3枚目の作品です。
まずホワイトキューブの中にモチーフが数える程しかないのが、写真作品としては特異的だと思います。
しかしそれだけでなく、構図とも呼ばれる、そのモチーフの配置の仕方にも特徴があるように思えます。
例えばヨガ行者の方の座っている位置です。
最初は天井の梁の先端の真下辺りに座られたのですが、少し左側にずれていただきました。
なぜなら梁とヨガ行者の方のぴったり垂直が揃った構図が、私には居心地が悪くて耐えられなかったからです。
これがデザイン、特にグリッドデザインなら、あえて水平垂直を揃えることがありますが、アート作品においては、水平垂直のどこか1箇所でも揃った所があると、もうそこばかりが目立って見えてきてしまうのです。
同じ理由から、清掃中の立て看板と壁に立てかけられたモップの位置も、清掃員役の方に何度も修正していただきました。
しかも結構撮影が進んでから気になり出し修正したこともあったため、連続写真としての一貫性を保つために2カット目の撮影から取り直したこともありました。
先のペインターの方の話では、絵を描く際に意図せずに水平垂直に揃った部分があることを嫌う人は多いようでした。
また指摘されるまで気づきませんでしたが、モチーフの配置が三角形を形作るとバランスがよく見えるというセオリーもあるそうです。
恐らく私はこうしたセオリーを、多くのペインターの知人の作品の鑑賞を通していつの間にか吸収し、しかしそれは無自覚に行われたために、これまで言語化できなかったのではないかと考えられます。
このように何がそのアーティストの個性(作風)を形作るのか時に予想もつかないところが、アートの不思議かつ面白い点の1つだと思います。
補足)写真にも三分割、対角線構図や日の丸構図を避けるなどのセオリーが存在しますが、今回考察したものとは異なるものと考えられます。
追伸)余談ですが、スパイラルの「Another Tokyo」では私の作品も収録されているEINSTEIN STUDIOのカタログも置かれていましたので、是非お手にとっていただけますと幸いです。
展示は5月13日(日)の20時までです。