私説:個性的な作品制作を可能とするインプット法(読書法)

一昨日、以前に紹介記事を書いたこともあるS.Y.P Art Spaceのイベントに参加して来ました。
神奈川芸術文化財団(通称KKAT)のキュレーターの中野仁詞さんをゲストに迎えた、トーク後にワールドカフェを組み込んだイベントです。

キュレーターには、アート以外の領域についても広く学ぶことが求められる

イベントでは「キュレーションの手法」と題して、日頃中野さんが実践されているキュレーションに関する様々な工夫や大切と考えていることなどが紹介されていましたが、その中でキュレーションを行う際の必要な心構えの1つとして、アート以外の領域についても広く学ぶことが挙げられていました。

この点は、多様なアイディアの源泉となるだけでなく、企画した展示なりイベントにアート以外の分野の方々の協力を仰ぐ際に必要となるコミュニケーションにも欠かせないためと考えられます。

広く学ぶ必要性はアーティストやデザイナーなどのクリエイターも同様

もっともこのアート以外の領域についても広く学ぶ必要性は、アーティストやデザイナーなどのクリエイターにとっても同じで、体験も含めて美大等でそのように教わった記憶がある方もいらっしゃるかと思います。

とは言え、だた闇雲に色々な分野の文献を読み漁ったり、あるいは普段と異なる事柄を体験しさえすれば、それがやがては作品制作の血となり肉となることを無条件に期待できるのかと言えば、私は決してそうではなく、そこには効率性が加味されねばならないと考えています。

少々前置きが長くなりましたが、その作品制作のための効率的なインプット法について、特に個性的な作品制作に重点を置いて、私なりの手法を提示するのが今回の記事の目的です。

補足) 但しここでの「個性的な作品」とは文字通りの意味を表すに過ぎず、それが直ちに作品の高評価に結びつくわけではない点はご注意ください。
また今回は読書法のみを提示しますので、その他の行為については適宜エッセンスを応用されるなどしてみてください。

知識を効率的に作品制作に活かすためには、制作や展示のことを頭の片隅に置きながら本を読む

私が仕事以外の本を読む時に日々実践している読書法は、見出しにもある通り制作や展示のことをどこか頭の片隅に置きながら本を読むというものです。

これはボンヤリとでも制作や展示のことを考えながら本を読んだ方が、書かれていることを理解することだけを考えて読むよりも、遥かに容易に作品コンセプトが浮かびやすいことを実感しているためです。

アイディアが閃くためにはリラックスも欠かせない要素

またこのような読書法は、作品のアイディアを必死に探すような読み方とは明らかに異なります。

しばしばトイレやシャワーなど全然関係がないことをしている時に突然アイディアが閃くように、創造性が発揮されるためには適度にリラックスしている方が良いと考えられます。
したがって適度にリラックスしながら作品制作のことをどこか頭の片隅に置きながら本を読むという行為は、制作や展示のことに心を開きつつ、なおかつそのことをハッキリとは意識せずに読むということになります。

ちなみにこのような心のモードは、フロイトの流れを汲む古典的な精神分析理論(欲動論)では平等に漂う注意、またシャーマニズムの世界では狩人と呼ばれています。

ですが難しければ、とにかくリラックスして楽しみながら読むように心がけてみてください。そうすれば何かの目的で必死に読むよりも、創造の神が降臨する確率が飛躍的に高まるはずです。

私説:創造的なアイディアはネットワーク的な思考から生まれる

なおアイディアが閃くためにリラックスが欠かせないのは、創造性が発揮されるためには、これまでに培われていた知識や経験などを様々に結びつけて物事を考える、つまりネットワーク的な思考が必要であり、したがって視野が狭くなりかねない極度の集中力はその足枷となるからではないかと考えられます。

思い浮かんだアイディアは直ぐに記録する

また私の場合、思いついたアイディアはドンドン本に書き込んで行きます。
この点はアイディアを書き込む専用のノートを別に用意したり、あるいはパソコンやスマホなどのモバイルに記録するなど方法は様々ですので、ご自身が続けやすく整理しやすい方法が適していると思います。

ちなみに私はアイディアだけでなく本を読みながら思いついたことを、とにかく書き込んで行きます。
これは後のページで詳しく触れますが、創造性を高める良いトレーニングになると考えています。

次のページでは、このようなリラックスした読書法が個性的な作品制作にも結びつくという点について、私なりに考察する予定です。

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