要約：2021年の2月から3月にかけて所属のART TRACE GALLERYで開催された個展「ミメーシス」の展示について、会期前半と会期後半の展示風景と作品に込めたコンセプト、およびクロージングパーティで用意したBERGの料理を紹介。
ART TRACE GALLERY「ミメーシス」終了
ART TRACE GALLERYで開催されておりました個展「ミメーシス」、3月7日をもちまして無事に終了いたしました。
コロナ禍の中ご来場いただきました皆さま、誠にありがとうございました。
また制作に協力いただきました太田翔さん、太田遼さん、急きょパフォーマンス・イベントを企画いただいた万城目純さん、並びにパフォーマーの蛭田浩子さん、富岡千幸さん、山口裕子さん、堀ゆかりさん、そして展示の開催を支えてくださったART TRACE GALLERYのメンバーの皆さま、この度は大変お世話になりました。
展示風景(会期前半)
今回の展示では、コンセプトに合わせてギャラリーの空間全体を作り込む、インスタレーションと呼ばれる手法を試みました。
2年前にトキ・アートスペースで開催した個展「症状の肖像」でも、部分的にこの手法を取り入れましたが、本格的なインスタレーションは今回が初めてです。
それゆえ予想外のトラブルにも見舞われましたが、この点は次頁以降の振り返りの部分で詳しく述べます。
今回は「ミメーシス」と題して、2年前に見た夢の本質を再現することを試みました。
その夢の中では、いわゆる秘事が行われていたため、その雰囲気を醸し出すためにギャラリーの入り口やスタッフルームのある小展示室、バックヤードなどから漏れる白い光はすべて遮断しました。
また大展示室の一部を薄手の布で仕切り、天井から垂らした20Wの白熱電球一灯のみのライティングにするなどして、薄暗いのホテルの一室に見立てました。
そしてその狭いスペースに、会期の前半は太田遼さんに製作していただいた、下半身側のみの半分の大きさのベッドを設置し、その上に私の制作による緩衝材を用いた張りぼてと、手術の時に使うような薄手で肌に密着する手袋を配置しました。
※太田さんに下半身側のみの大きさのベッドの製作を依頼した理由は、次のページで詳しく触れます。
この写真では分かりづらいでしょうから、展示のイメージ画像を再掲いたします↓
このような形のオブジェが、ベッドの左側に配置されていました。
また夢の内容を、目につきやすいようにA3サイズの紙にプリントして壁に設置しました。こちらがそのテキストです↓
2019年3月14日(木)の夢
元アイドルの女性数人がアイドル時代の話をしている。
当時は今と違い、セクハラが当たり前のように横行していたため、自分の身を守るために様々な努力をしていた。
例えば絶対に体を許さず、しかし男性を満足させるために口で処理し、なおかつ己れを穢れ(けがれ)から守るため、身体が直接触れないように、透明な素材でできた張りぼてで全身を覆いことに当たっていた。
そのシーンを横から眺めるイメージが見える。Dream of Thursday, March 14th, 2019
Several women who were once idols are talking about their idol days.
Sexual harassment was rampant in those days and simply considered part of the package, unlike today. For that reason, the women made various efforts to protect themselves.
For example, a woman would steadfastly refuse to yield her body, but instead use her mouth to satisfy a man. To prevent him from touching her body directly, she would cover her entire body in papier-mâché made from transparent material.
You can see the image of that scene viewed from the side.
なおこのテキストにもあるように、夢には男性が登場するのですが、前半の展示ではその男性像をあえて登場させませんでした。
これは行為に用いられた道具だけを見せることで、鑑賞者の想像力を喚起する意図からです。
次のページでは、会期後半の展示の様子を紹介いたします。
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