少し前にHBギャラリーで野澤峻個展「Daydreaming」を拝見しました。HB FILE COMPETITION vol.35で河西達也賞を受賞された方の個展です。
「Daydreaming」の展示作品からの連想
今回の野澤さんの個展「Daydreaming」には、伊藤若冲の升目に描かれた絵を思わせるような作品が多く展示されていました。
その意図はデフォルメとのことでしたが、そうしたデフォルメされた作品からは、次々と連想が膨らんでいきました。
地下世界の夢
地表のような絵柄の作品ですが、よく見ると上部に地上の世界が描かれています。このため地表の部分が地下世界のように思えてきます。
ちなみに私はよく地下世界が登場する夢の見るのですが、その夢はいつも同じパターンなのです。
地上を歩いていると、突然地下世界に落ちてしまい、そして地下に落ちた瞬間、それまでカラーだった景色がモノクロに変わるのです。
野澤さんの作品もグレイッシュなトーンのものが多く、その繊細な色使いが魅力の一つだと思います。
映画『ウエストワールド」のガンマン
この顔の見えないカウボーイの作品から、子供の頃に見た映画『ウエストワールド」のガンマンのことを久しぶりに思い出しました。
テーマパークに配置されたユル・ブリンナー扮するロボットのガンマンが、ある日突然制御が失われ人間を襲い始めるというストーリーの映画です。
私の記憶では、映画に登場するガンマンの顔が見えず、この共通点から不意に『ウエストワールド」のことを思い出したのでしょう。数十年ぶりに…
参考ページ:
ウエストワールド(映画)
色相・明度・彩度の微かな差を楽しむ作品
またテーブル置かれていたポートフォリオの中にも気に入った作品がありました。
こちらも格子状の作品ですが、画面全体のコントラストが非常に低く、色相・明度・彩度の微かな差を楽しむ繊細さに惹かれました。
なおこちらの作品からは、ふとバウハウスの講師の一人でもあったパウル・クレーの《Ad Parnassum》(アド・パルッスナム)を連想しました。
クレーの作品は色合いは違いますが、繊細な色の移り変わりの様子が似ているからかもしれません。
参考ページ:
パウル・クレーとは?来歴、エピソード、作風から代表作まで詳しく解説します | アートリエメディア
マネの逸話への憧れ
なお展示を拝見する前から、ギャラリーのWebサイトに記載されている次の文言が気になっていました。
この展覧会を通して、
マネの『一束のアスパラガス』の絵の
後日談のような素敵な出会いが
あれば良いなと思っています。
在廊されていた野澤さんに、作品を拝見した後このメッセージについて尋ねると、表題の絵画にまつわるマネの逸話のことを教えていただきました。
参考ページ:
【画家の小噺】 -マネとアスパラガス-
野澤さんは非常に気さくな方のため、鑑賞中も話が弾み、とても楽しいひと時でした。
展示公式ページ:
HB Gallery | Schedule